2012年11月6日火曜日

今、知ってほしい、沖縄の底力。

藤本幸久・影山あさ子最新作

ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間

この映画を「本土」で観て、消費するだけに終わってはならないだろう。
沖縄の人びとが闘う必要がなくなるために、自分は何ができるのか。
(高橋哲哉/哲学者)

米軍の新基地建設、オスプレイ配備に揺れる沖縄。
抵抗の8年を撮ったドキュメンタリー
2012/日本/DVcam/カラー/4:3/112分


藤本幸久・影山あさ子監督作品
■撮影:藤本幸久/栗原良介/江藤直樹/西丸栄次/木村修/牧志治 ■水中撮影:牧志治 ■編集:栗原良介 ■挿入曲:「透明な闇」新月灯花 ■映像提供:比嘉真人/金治明 ■タイトルデザイン:ねこまたや
企画・製作 森の映画社  配給 影山事務所  ©森の映画社 2012


       <寄せられたコメントから>      

★この映画には「これを記録し伝えずにおくものか」という気迫がみなぎっている
 土井敏邦(ジャーナリスト)

★この映画をじっくり観ること・・・そこから「それぞれの沖縄への愛」が始まる。
 長谷川和彦(映画監督)

★沖縄の現実をだらだらと続けさせているのは「本土」の私たちなのだと・・・
 池田香代子(翻訳家・作家)

★ため息の出る分断の光景・・・ひとりでも多くの人に観て欲しい。
 中川敬(ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン)

ポスター(クリックすると拡大)

オスプレイがやってきた。力ずくの沖縄配備から見えてくるのは、フクシマと同じ犠牲のシステムだ。⇒解説へ

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2012年11月4日日曜日

「ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間」解説

オスプレイがやってきた。力ずくの沖縄配備から見えてくるのは、フクシマと同じ犠牲のシステムだ。


1945年以来、日本に駐留を続ける米軍。その基地の74%が、沖縄に集中している。沖縄本島の20%が、アメリカに占拠され続けている。

住宅や学校と隣接し、「世界で最も危険な基地」とラムズフェルド国防長官(当時)が認めた米海兵隊普天間基地(宜野湾市)。滑走路にされる前は、家があり、畑があり、祖先の墓があり、集落があった場所で、現在も92%が民有地である。日本への復帰により、米軍基地は、日本政府による提供区域と呼ばれるようになるが、40年経った今も基地は減らず、米軍による事件、事故もあとを絶たない。

1995年、米海兵隊員3人による小学生の少女暴行事件をきっかけに爆発した沖縄の怒りを前に、日米政府は普天間基地を閉鎖することに合意した。が、それは、名護市辺野古の海を埋め立て、代替基地をつくることと引換だった。
辺野古の海は、天然記念物のジュゴンもやってくる美しいサンゴの海だ。沖縄防衛局がボーリング調査に着手した2004年、住民たちは連日、夜明け前からカヌーで海に出て、作業を止め続けていた。

日米政府の新基地建設の最初の合意から15年が経つが、辺野古の海には、まだ一本の杭も打たれていない。辺野古の浜と海とに座り続け、抵抗を続けてきた人たち、新たな基地を望まない沖縄県民がいるからだ。

東村・高江のある本島北部、やんばるの森は、天然記念物のノグチゲラやヤンバルクイナも棲む自然の宝庫。その森に米軍の北部訓練場はある。海兵隊がヘリを飛ばし、サバイバル訓練やゲリラ戦の訓練をし、次の戦場に向けて準備をする場所だ。

辺野古への新基地建設同様、北部訓練場も、返還予定地にあるヘリパッドを移設するという条件付きで、7800ヘクタールの訓練場の過半(約51%)を返還すると日米政府は合意した。人口160人の集落・高江を囲むように、米軍のヘリパッドを新たに6箇所つくるという。2007年に工事が始まったが、住民たちは座り込みを続け、工事を止め続けている。

15年の間に明らかになったことは、辺野古の新基地も、高江のヘリパッドも、すべては、米海兵隊の新型輸送機オスプレイを配備するためだった、ということだ。爆風も爆音も従来を上回るオスプレイは、開発以来、7件の墜落事故で36名が死亡している危険な飛行機。普天間に配備されれば、沖縄中の空を飛ぶことになる。

県議会も、沖縄県の全市町村も反対決議を上げ、10万3千人の市民が県民大会に集まり、文字通り、沖縄県民の総意としてNOの意思を示す中、2012年10月、オスプレイがやってきた。体を張って、普天間基地の全てのゲートを封鎖する人びと。その多くが、女性や65歳以上の年配者だ。2日間にわたって、普天間基地の機能が止まった。日本政府の命を受け、沖縄県警・機動隊員200名が、深夜までかかって座り込む人たちを排除した。
その翌朝、オスプレイがやってきた。

今、オスプレイは140万の沖縄県民の頭上を飛んでいる。
やがて日本本土での低空飛行訓練も始まる。

2012年11月3日土曜日

ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間 シーン写真

*各画像を左クリックするとデータサイズの大きな画像になります。

タイトルロゴ
①普天間基地のゲート前 2013年9月28日

③普天間基地のゲート前 2012年9月28日

④普天間基地のゲート前 2012年9月30日

⑤普天間基地にやってきたオスプレイ 2012年10月1日
⑥新基地予定地の大浦湾

⑦基地建設を止める。海上のやぐらに座り込む。2004年
⑧調査船にしがみつき止める。辺野古。2007年
⑨普天間基地閉鎖・県外移設を求める県民集会。
9万人。2010年

⑩辺野古基地建設のための環境影響評価書を
運んできた車を止める沖縄の人びと。2011年12月

⑪北部訓練場のヘリ。高江で県道の真上を飛ぶヘリ
⑫重機の出入口を座り込みで封鎖。高江

⑫高江上空を飛ぶ米軍ヘリ

⑬高江上空を飛ぶ米軍ヘリ

⑭オスプレイ配備を号外で伝える沖縄の新聞

⑮「基地はいらない」
キャンプシュワブのフェンスにバナーを掲げる

⑯2004年から始まったテントでの座り込みも
2012年7月に3000日を越えた。

おまけ:オスプレイ



2012年6月5日火曜日

沖縄・辺野古から島袋文子さん(83才)が、函館(6/5)・帯広(6/7)・札幌(6/8)で連続講演会。

6月4日から1週間、沖縄の辺野古で新基地建設に15年間、反対し続けている島袋文子さん(83歳)やってきます。函館と帯広、札幌の3箇所で講演します。

文子さんは、藤本&影山が、沖縄での撮影の中で出会ったキュートなおばあさんです。

でも、文子さんの経てきた人生はただごとではありません。
中学生のときに体験した沖縄戦では、母を弟を連れて逃げまどい、沢山の悲惨な死を目撃。自らも壕の中で火炎放射器に半身を焼かれました。苦しい戦後も、米軍将校のハウスメイドなど、様々な仕事をしながら生き抜き、新たな米軍基地の建設予定地とされた辺野古に暮らしながら、15年間、毅然と新基地建設反対を貫いてきました。「基地があるから戦争になる」が揺るがない信条。その原点が、沖縄戦の体験です。

国宝級のおばぁと思います。

講演では、文子さんの沖縄戦の体験と現在の基地建設に対する思いをお話いただく予定です。
前段、私たちの最新作、「ラブ沖縄@辺野古 @高江」から辺野古の部分を上映します。

函館:6月5日(火) 18:30~ @函館競輪場テレシアター
帯広:6月7日(木)  18:30~ @とかちプラザ・視聴覚室
札幌:6月8日(金) 18:00~ @かでる2.7ホール

チラシ↓↓
https://docs.google.com/open?id=0BzSJZVIJ826XSEpTRUZLWThGTnc

影山・藤本ともに、全行程ご一緒しますので、お近くのみなさま、講演会でお目にかかりましょう~

2012年5月13日日曜日

原発震災ニューズリール最新号できました!小出裕章さん「子どもの命を守るには」

No.3  2012年4月18日インタビュー/63分
小出裕章(原子炉実験所) 
「子どもの命を守るには」


東京電力福島第一原発は、今、どうなっているのか? 危険は去ったのか? 事故の収束に、必要なことは? 除染すれば、戻ってよいのか? 汚染はどこまで広がっているのか? 誰が責任を取るべきなのか? ガレキを日本中で受け入れるべきなのか? 8,000ベクレルなら埋めてもいいか? 海の汚染はどうなっているのか? ・・・子どもの命を守るために、今、私たちが本当に考えるべきこと。
1枚 1000円(図書館価格1万円)
ニューズリールの詳細・お申込み方法は、こちら

2012年4月15日日曜日

ラブ沖縄にお寄せいただいたコメント


辺野古、そして、高江。この二つの場所での闘いには、沖縄の人びとの、どうしても譲れない思いが込められているにちがいない。
 美しい海、空、森。そうした自然と共に、自分たちの土地で、平和で、安全な、普通の暮らしがしたいという思い。人間としてごくごく当たり前のそんな思いを、日米の巨大な国家権力によって踏みにじられ、軍事基地の恐怖のもとに置かれつづけて、なんと70年近くにもなるのだ。
 「本土」のマスメディアではほとんど伝えられることのない、辺野古と高江の闘いの現場。そこで闘う人びとの思い。本作品のカメラとインタビューは、それらを丁寧に捉えて、生き生きと画面に映し出してくれる。
この映画を観るとき、「本土」の日本人は、いやおうなく一つの問いの前に立たされる。私はどこにいるのか。私のいる場所は、この構図のなかで、どこに位置しているのか。どう考えても私は、沖縄に基地負担を押しつけることで、その負担を大幅に免れてきたヤマトゥの民の一員なのではないか。
 題して「ラブ沖縄」という。だが、誤解してはなるまい。「本土」の日本人は、この作品に横溢する沖縄の人びとの「ラブ沖縄」に、簡単に共感したり、唱和したりできるものではないのだ。この「ラブ沖縄」を踏みつけてきたのは、日本の国家権力と、その背後にいる「本土」の日本人でもあるのだから。
 この映画を「本土」で観て、消費するだけに終わってはならないだろう。沖縄の人びとが辺野古でも高江でも、その他のところでも、闘う必要がなくなるために自分は何ができるのか。それを考えなければならないのだと思う。

哲学者/高橋哲哉




この映画をじっくり観ること……そこから「それぞれの沖縄への愛」が始まる。地べたを這う目線で淡々と撮られたこの映画は、「大切な場所に座り込むこと」で「無力な個人でも国家の横暴に抵抗出来るんだ」という事を伝えてくれる。
人間は、海は、山は、やっぱり素晴らしい。
「ジュゴンやノグチゲラと共生できる人間」……その一人であり続けたいと、心から思った。

映画監督/長谷川和彦  




映像に記録しなければ広く伝わらない沖縄の理不尽な現実がある。この映像は「これを記録し伝えずにおくものか」という気迫がみなぎっている。「ドキュメンタリー映画」の原点を教えられた。

ジャーナリスト/土井敏邦



藤本・影山作品のしつこさは、対象の意味が観る者の肌にしみこむほどしたたかに届いたと、彼らが納得するまで続く。対象の多くは人だが、今回は出来事が前面に出ている。辺野古は、クロニクルと言うべき形式で、この七年をたたみかける。そして高江では、住民と当局のせめぎ合いを、そのただ中で何度も見届ける。海でもやんばるでも、作業員はほぼすべて沖縄の人だという事実、沖縄の人びとが分断され、苛立たしいいがみ合いを続けているという事実、その上をそ知らぬ顔で通り過ぎてゆく米軍機。冒頭近く、海兵隊は「本土から」沖縄に移ってきたという文字が出る。「山梨と岐阜」ではなく「本土」なのだ。この違和感は、観終わったとき、沖縄の現実をだらだらと続けさせているのは「本土」の私たちなのだとの思い定めへと変わる。私はそれを、鉛の固まりのように飲み込む。

翻訳家・作家/池田香代子



沖縄の米軍基地問題を長年にわたり追い続けている藤本幸久&影山あさ子監督による新作ドキュメンタリー映画。
5年前の長篇『マリーンズ・ゴー・ホーム』同様、カメラは、過剰な説明や小細工を抜きに、軍事基地立地が織り成す不条理な人間模様を映し出し、何故軍事信仰に反対するのか、何故人々は平和を希求するのか、という、市井の「平和に生きる権利」の本源を、憤怒をもって、あらわにする。
中央マスコミが伝えない、米海兵隊の辺野古新基地建設計画・米軍の高江ヘリパッド建設計画に反対し阻止行動を続ける人々の現場の声。本意ではないにせよ新基地建設に手を貸さざるを得ない沖縄防衛局の一人ひとりの横顔…。溜息の出る分断の光景は、最近マスコミがようやく思い腰を上げざる得なくなった原発立地の構造とあまりに相似形だ。
長年辺野古の阻止行動に参加している平良悦美さんの言葉の重み。「私たちにできることは、少しでも(基地建設を)遅らせていくための闘い。分をわきまえているっていうかな。その間に日本中、世界中が動いているじゃないですか。そんなふうにさ、世界中、日本中、沖縄中の心ある人たちが動いている、そのための時間作り、が私たちの、海の上の役割だと思ってる。だから、休めないの。休みたいけど」
一人でも多くの人に観て欲しい。「辺野古? 高江? その地名は聞いたことがあるけど…」というような人々にこそ。

中川敬<ソウル・フラワー・ユニオン>/ミュージシャン